DELL OptiPlex 3020 CPUグリス再塗布作業

こんにちは! イマジネットPCサポートの橋崎です。

いつもお世話になっているお客様が使用しているパソコンのファンの音が大きくなっているとお問い合わせ受けてパソコンの内部清掃やボタン電池交換、CPUグリスの再塗布作業を行いました。

今回はその中でもご紹介した事のない作業、CPUグリスの再塗布作業の様子をご紹介します。

CPUグリスとは?

パソコンに詳しい方ならともかく、「CPUグリス」と言っても普通は「何それ? おいしいの?」となりますよね!

ここでは簡単に「CPUグリス」の役割や必要性等を説明しましょう。

その前に「CPU」自体を理解しなければいけません。

CPUとは勿論、パソコンの部品ですが、主な役割としては制御演算を行います。制御・演算と言っても少しわかりずらいので人間の体で例えると脳の役割をします。

このように例えるとCPUがパソコンの中心を担う機器である事は想像できるでしょう。

このCPUは非常に高速で演算を行うので熱を発生しやすい構造となっており、我々がパソコンをドンドン使用すると、するだけ発熱します。

この熱が限度を超えると故障してしまうので、CPUには温度を下げるCPUクーラーと言う機器が取り付けてあります。

CPUクーラー

画像を見て頂くと一番上に扇風機のようなファンがあり、その下に金属の板がジャバラのように並んでいます。画像には写っていませんが、更にその下にCPUがあります。

CPUから発生された熱がこのジャバラの板に伝わります。そしてファンが発生させた風の循環を利用して板に伝わった熱を放出させて冷却しています。

つまり熱を放出するにはCPUからこの金属板に効率よく熱を伝える必要がありますね。

その役割をしているのが「CPUグリス」です。

お車の仕組みに詳しい方であれば自動車のラジエターの仕組みにとても似ていると思いませんか?

CPUグリスは定期的な塗り直しが必要です。

CPUグリスが冷却のために重要な役割をしているのが理解できたと思います。

このCPUグリスは皆さんのパソコンにも勿論、塗ってあります。

ただ、このグリスは年月が経過すると劣化により本来の熱伝導の性能が落ちてしまうのです。

つまり放熱の性能が落ちると言う事です。

先ほども言いました様にCPUの放熱性能が落ち上昇温度が限度を超えると故障の原因になります。(車で言えばオーバーヒートですね)CPU故障となれば修理費用は高額となる事が予想されます。パソコンによっては買い替えも検討しなければいけません。

それを防止するため、また冷却性能を落とさないために定期的なCPUグリスの塗り替えが必要となります。

塗り替えのタイミングは?

グリスメーカーではこれといった塗り替えのタイミングは発表されていないようです。

確かにこれはパソコンの性能や使用頻度により違うので、一概に言えませんが、一日十時間以上毎日フルで使用される場合では2年ぐらいでしょうか。

普通に事務処理を行っている場合だと4~5年ぐらいだと思います。

とは、言ってもほとんどの方はCPUグリスの再塗布なんて気にも留めた事はないでしょう。ほとんどのパソコンはそんな事しなくても動いていますからね。

しかしパソコンを快適な状態で使用するには必須の作業だと考えています。

また、件数の割合としては多くはないですが、パソコン内の清掃不足やCPUグリスの劣化が原因であろう熱上昇で発生するトラブルは毎年、一定数あるのも事実です。

DELL OptiPlex 3020 CPUグリス再塗布作業

分解のご注意

分解をご自身で行う場合は自己責任でお願いします。

パソコン等の分解にはある程度の知識と経験が必要なので、不用意に作業しないようにしましょう。

記事については作業ポイントを中心に掲載しております。従って全ての作業工程を掲載している訳ではありません。また同機種であっても出荷時期の違いでネジの位置や本数が異なっている場合もあるので、記事を鵜呑みにせず、必ず作業対象パソコンの現状を確認するようにして下さい。

当記事では「簡単に取り外せた」と記載していても機器には使用環境等の影響で個体差が発生し本体の硬化が進行して同機種であっても作業が困難な場合があります。

また実際に作業をされた場合に「大丈夫かな?」と不安に思った場合は深追いせずに作業を中止して下さい。パソコン破損やご自身のケガに繋がります。また初歩中の初歩ですが、感電のおそれがありますので、バッテリー搭載パソコンは必ずバッテリーと電源コンセントを取外し、搭載していないパソコンの電源コンセントは必ず抜いて作業して下さい。

最後にメーカー保証期間中の機器では分解をする事で保証がなくなる場合があるのでご注意下さい。

また分解に関してはこちらの記事も御覧下さい。

必要なもの

今回は初めてブログでご紹介する作業となり新たに必要な商品が以下の様に数点あるので先にご紹介します。

  • CPUグリス
  • 紙ウエス
  • 無水エタノール
  • 小さいヘラ

CPUグリス

CPUグリスは使用しているCPUにより選択するグリスが違ってきます。グリス選びの参考になる記事があったので、もしよろしければご覧下さい。

mybestー「【2023年】CPUグリスのお勧め人気ランキング26戦」

ちなみに今回使用したのはCPUが Core-i5-4590と古い型であまり高負荷で使用しませんからシリコングリスをチョイスしました。

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紙ウエス

紙ウエスについては必須ではありません。

これはCPUクーラー・CPUに付いている古いグリスをふき取るために使用します。古いグリスをキレイにふき取るにはグリスに粘度があるので、ある程度の強度が必要です。テッシュペーパーやウエス等でも代用はできますが、お勧めはしません。作業のしやすさで言えば紙ウエスが一番です。

当店ではこちらの商品を使用しています。グリスだけではなく頑固な汚れに対してもよく使用しています。店頭で購入する場合はホームセンターで販売しています。

無水エタノール

これは古いグリスを取り除くための洗浄液です。先ほど紹介した紙ウエスに浸して使用します。

引火しやすいので火気の近くでは絶対に使用しないで下さい。

店頭で購入する場合はドラックストアで販売しています。ホームセンターではあまり見かけません。またパソコンショツプでも専用の溶剤が販売されていますが、値段はあまりかわりませんので、量が多い分こちらの方がお得です。他の洗浄でも使用できますのでね。

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小さいヘラ

CPUに新しいグリスを塗る時に小さいヘラで表面を伸ばします。

基本的には購入したグリスに添付されていると思いますが、添付がない場合もあります。なければホームセンターで販売していると思うので適当な大きさのものを購入しましょう。

先は親指の爪ぐらいですかね。

紙ウエスや無水エタノールを購入するまでもないと思う方は写真にあるようなエタノール配合のウエットティッシュのようなものでも大丈夫です。

大丈夫ですが、あまり使用頻度がないと中身が乾燥してしまうので注意が必要です。

機種のご紹介

機種は「DELL OptiPlex 3020」で約10年前のパソコンです。

当店だけの印象かも知れませんが、この機種はなかなか故障しませんよね。(個人の感想です。)

CPUは「Intel Core-i5-4590」です。

第4世代ですね。

CPUクーラー取外し

サイドカバーを外すと目の前にCPUクーラーが見えます。

カバーがあるのでツマミを両方、矢印の方向へ引くとカバーは簡単に外れます。

カバーを外して、少し見えにくいですが、丸の箇所にマザーボードに固定しているネジが4本あるので外します。

ちょっと豆知識

パソコンに限らずなんですが、このようなネジを緩める、あるいは締める場合は対角線上に順番に行うのが、ちょっとしたコツです。

つまり左上の次は右下そして右上から左下と言う具合ですね!

そして精密な機器であるほど、一本のネジを集中して緩めたり、締めたりしないようにしましょう。

具体的には左上を3回緩めたら、右下を3回緩めるといった感じです。締める場合も同じようにします。

CPUクーラーを外したら忘れずにマザーボードの電源コネクターも外しておきましょう。

CPUグリス除去作業

グリスの除去作業は以下の2か所行います。

  • CPU
  • CPUクーラー

先に古いグリスを除去しましょう。

CPUクーラーを取り外すと、その下にCPUが見えているはずなので、紙ウエスに無水エタノールをしみ込ませた状態にしてやさしくグリスをふき取ります。ねんのため静電気防止手袋を着用して作業します。

このように型番が見えるぐらいで大丈夫です。

撮影用にCPUのソケットを外しています。

次にCPUクーラー側のグリスも除去しましょう。

CPUクーラーをひっくり返すとCPUとの接着面に古いグリスがあるので、同じ要領で除去します。こちらは端の余ったグリスが固まっているので中々キレイになりません。根気よく拭き取りましょう。

根気よく作業してもとれんもんはとれんと言う場合は使用しない、なるべく柔らかめのプラスチック製カードやこちらも柔らかめのプラスチック製ヘラを使用して剥がしてください。(金属製のものは絶対使用しないで下さい。クーラーの金属が破損します。)

きれいになったらグリスを塗布しましょう。

グリスのカスは除去して下さい。

グリスの劣化状態によっては消しゴムの消しカス状態のものがCPUの周りに落ちる可能性があります。

手間ですが、これらはエアーダスター等を使用して特にCPUの周辺には残さないように気を付けて下さい。ソケット内に入り込んだ場合はソケットを外して取り除いて下さい。(慎重に行いましょう。)

CPUグリスの再塗布作業

CPUグリスは以下に塗布します。

  • CPU

CPUの中心にグリスを適量落として、小さいヘラで全体に伸ばす容量です。(伸びが悪いグリスはバツ型に付けて伸ばします。)

上からCPUクーラーで押し付けるのでグリスが伸びます。適量以上に付けるとグリスがはみ出たりしてトラブルの原因になります。できるだけ薄く全体に広げます。

あまり端まで広げる必要はなく、もう少しだけ余白がほしいところです。(見本が悪くて申し訳ありません。)

グリスはCPUクーラーには塗布する必要はありません。

あとは元通りにして動作確認後、問題なければ完成です。

サイドパネルを閉める前に電源を入れてファンが回転している事を必ず確認します。(以外と多い電源コネクターの付け忘れ)

また効果を実感したい場合はツールを使用して再塗布以前の温度と後のCPUの温度を計測して比べてみてもよいでしょう。

あとがき

如何でしょうか!

初心者の方には少し敷居が高いかも知れませんね。少しでも作業を行う自信がなければ中止して当店のような業者へ依頼する事をお勧めします。

また、実行する場合は合わせて内部清掃やボタン電池の交換もついでに行うとパソコンも調子が良くなりますし、大事にしようと言う気にもなります。

パソコン内部の清掃はエアーダスターを使用してホコリを除去して下さい。代わりの方法でよく言われるのが掃除機の使用ですが、これはあまりお勧めしません。吸引力が強く、なによりパソコン内部の細かいところまでホコリを除去するには向きません。

当店でも件数は少ないですが、掃除機で内部を清掃した後に電源が入らないと言ったご依頼も実際ありました。

ボタン電池は付いているボタン電池に型番が刻印されていると思うので、(大抵CR2032です。)同じものをホームセンターか家電量販店で購入しましょう。

それでは今回はこれで失礼します。

ごきげんよう!

ご注意

記事内容についてのご質問の受付は時間が取れませんので行っておりません。

ご自身が使用しているパソコンの状態・環境により、同じような症状であっても同じとは限りません。したがって記事に書かれている内容を行う事で必ずトラブルが解消されるとは限りません。またこの記事を参考に作業される場合は自己責任でお願いします。作業された場合での損害や障害が発生しても当店は一切責任は負いませんのでご了承下さい。

この記事の内容は投稿日時点での内容です。時期によっては仕様などの変更により、この記事のとおりではない場合もございます。